ベイビーステップ

1ヶ月ほど前だと思うが、錦織選手の成長とそれに対抗してくる上位プレイヤーについての解説番組を見た。詳細をもう忘れてしまったのだけど、要は、錦織選手の飛躍と、それに対する最上位プレイヤーの対策についての番組だったと思う。

多くのスポーツで、選手のデータを取って、その選手が味方ならどう成長・活躍させるか、相手ならどう攻略するかをデータから分析するのが、当たり前になってきている。野球ならば『マネーボール』で同じスタイルを見た。

『マネーボール』でのデータ志向の野球では、選手を数多の交換可能な独立した要素として見ている雰囲気を感じる。野球がチームスポーツでは実はないという、断定こそないもののそういう含意を読み取りたくなる作品だった。素人目に見て、主観的な野球の楽しみ方に冷水を浴びせてくるところがある。

一方、テニスの上記の番組、それに『ベイビーステップ』というマンガに基づいてテニスを眺めると、同じくデータにもとづいているにも関わらず、テニスという競技が逆にものすごく面白いものに見えてくる。データに基づくスポーツという点では同じでも、付加するものが大きく違うという印象だ。

特に個人戦テニスだと、個別の選手が如何に個人の能力を飛躍させられるかという以外にはデータの分析は使えない。プレイスタイルを変える、はあり得ても、その個人の特定の腕や足を入れ替える、という判断はない。一人のストーリーとして見た時、データ分析がある方が、テニスという個人プレーに関わるドラマがむしろ面白くなり、ひいてはテニス自体が面白いスポーツに見えてくるように思えた。テニスチームの運営、という視点なら『マネーボール』のような世界になるのかもしれない。

双方について感じられるのは、気合一辺倒というのは今後ますます現実的ではなくなっていくという世界観だ。データを収集する力そのものが勝敗を決めていく、ということなんだろう。ただ重要なのは、解析する重要性を語ること自体ではなく集められる能力そのもので、それはそれで修得するのは大変だ。ベイビーステップの主人公は物語中で目が良い、という設定があるが、書くスピードと正確さも、ものすごい。



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